しいたけ園←ブロッコリー

南波典子から『トーキョー・ボディ』共演者である久保優子さんへ送る日々の記録。
子育てのこと、仕事のこと、などなど。

久保さんからのお返事『しいたけ園→ブロッコリー』も、どうぞよろしく。

映画『3人、』見に来てくださった皆さま、ありがとうございました。
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『子どもたちは未来のように笑う』(少し加筆修正しました)
久保さん、皆さん、こんにちは。

午前中は快晴でしたが、どんより、ぶあつい雲がかかってきました。予報通りです。

14日(月)、こまばアゴラ劇場で遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場『子どもたちは未来のように笑う』を見てきました。
見る前から、このタイトルについて、いろいろ考えてて、今、子供を産む、ということについて、と言われても、産むか、産まないか、なんて、自分の意思でそうそう決められるものではなく、たまたまそういうことになるか、ならないか、ってことだからなあと、身構えていましたが、作品にも、ちゃんと、「どうにもならない感じ」「思い通りにはいかない感じ」がたくさん盛り込まれていたので、ああ、ほっとした、というのが見終わってすぐの感想でした。
俳優さんたちが、妊娠、出産に関する様々な本を読んでいく場面は、それぞれのテキストがとても面白かったのですけど、女の胎児の卵巣の中にすでに卵のもとがあり…、という話で「マトリョーシカ?」というセリフが出てきたのが私にとってはとても新鮮で面白かったです。
あと男女で体操というかストレッチというのか、そういうのをやるシーンがあって、でもそこから何かに発展する感じでもない、という、その場面がとても印象に残っています。体操していた牛尾さんに「あの場面は…」と訊いたら「私の場面はブレイクタイムなので」と小さくおっしゃってましたけど、確かに、見ているこちらの脳の緊張をぐぐっとのばしてほぐしてくれていたのかも。あの場面大好きです。
妊娠、出産がテーマでしたが、出てきた子供をどう迎えるか、自分の家に子供がいても、いなくても、社会には子供がいるわけなので、子供、そのものの、どうにもならない感じも、9月の本公演では、見せていただけると、いいなあ。

作品を見る前も、見たあとも、考えるのは、ものすごく子供が欲しいと思ったり、逆に、産むのはやめておこうと思ったり、産んだ子を虐待死させてしまったり、公園や保育園の子供の声がうるさいと思ったり、そういうのは、子供がやっぱり、自分のまわりに、日常的には、少ないのだろうなあと。「よその子」と接する機会があんまりないのですよね。私もかつてそうだったので、子供が生まれて「そうか子供ってこんなものなんだ」とびっくりすることがたくさんあって、子供がいて迷惑がられているだろうなと感じて遠慮したりとか、でもすみませんがしょうがないのよ泣くのよと開き直ったりとか、いろいろあってここまで来て。
何が言いたいかというと…。
我が家はマンション暮らしなのですが、ちょっと事情があって、独身女性がたくさん住んでいるマンションに住んでいるのです。とっても綺麗な身なりをしているけど、「こんにちは」と挨拶しても黙って会釈しか返してくれないような女性がたくさん住んでいらっしゃいます。でもこういうところでも、こういうところだからこそ、「子供がいる日常の音」というのを、遠慮なく出していこうじゃないか、と最近は考えているのです。もちろん、どしん!ばたん!とかはさせないし、大きすぎる声は注意しますよ。でも「子供がいるってこんな感じ」が、いっぱい身近にあれば、「ものすごく羨ましい」も、「ものすごく迷惑」も、やわらぐんじゃないかな、どうかな。

今の、この日本で、放射能が撒き散らされたこの日本で、子供を産むかどうか、という問題は、また別の話になりますが、まだ5年で、はっきり表に出てこないことはたくさんあるし、やっぱり、産む、産まないって自分で決める力よりも、たまたまそうなる(子供を授かる人生になる)、たまたまそうはならない、という力の方が、まだ今は、大きく働いているんじゃないかなあと思います。
でも、特に線量の高い地域に残らざるを得ない状態でいる若い女性たちは、自分は将来健康な子どもを産めるだろうか、という不安が、切実なこととして、胸の中にあるのではないでしょうか。口には出せない苦悩があるのではないでしょうか。

最後の場面だけちょっとひっかかっています。
生まれてくる子供が障害のある子かもしれない、と、女性がバーで自分のお母さんとお姉さんに話をしていて、お姉さんは「生んだほうがいい」と言い、お母さんはただオロオロし、本人は多分、パートナーと相談して堕ろすことに決めたような感じを醸し出しているところに、「堕ろせ」と店のウェイトレスが言うのです。必死に働いて奨学金を還しているという設定なんだけど、でも、今、社会の中で心なく、「障害者は迷惑」「堕ろせ」という言葉を発しているのは、彼女のような人ではないんじゃないかな、もっと違う人が言ってるんじゃないかなと、思いました。しかも、悪意なく、むしろ善意で、言っている人もいますよね。

アフタートークでは、宮沢さんが女優さんふたりに「子供を産むことについてどう考えているか」と尋ねていて、うわあ、宮沢さん怖いこと訊くなあ、鬼のようだなあと思ったのですけど、正直なところをおふたりとも、とても話しづらいことまで話されていて、聞かせてもらった私は、その話について自分の中できちんと考えていこうと思いました。

終演後は長々と楽屋にお邪魔してしまい、皆さんお疲れだったのに失礼なことをしたと反省しております。大好きな人たちに会えて嬉しかった。
9月の本公演をとっても楽しみにしています。

お芝居を見た翌日は、昔々通っていた横浜国立大学に行ってきました。必要な書類をコピーさせてもらいに。
キャンパス内の木々がものすごく大きく成長していて、20年の歳月を物語っていました。とても大切に木々が管理されている印象を受けました。20年の間に、大学の中に保育園ができ、コンビニもでき、バス停もでき、私の在籍していた「工学部」は「理工学部」になっていました。いつの間に!
ものの30分ほどで失礼して、夫と息子と待ち合わせをして奈良に帰ってきました。

畑は、すっかり春です。今はつくしとふきのとうが出ています。たんぽぽも咲いています。イチゴの花も咲いています。ベランダのブルーベリーも咲き出しました。ウグイスが鳴いています。メジロが杏子の花をつついて、サギがゆうゆうと翼を広げて飛んでいます。
今夜は天ぷらにするので、いつもより早く息子を迎えに行ってきます。天ぷら、手伝ってくれるんですって。
雨が降らないうちに行ってきます。

皆さまもどうぞよい夕餉を。
 
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